2005年02月11日

写真屋にBGMなんかいらねぇ?そんなこと言ってるヤツは歯医者にでも行け!?えっ、なんで?

写真屋を見かけるたびにおもうことがある。
どうも写真屋に「音楽」を感じない。
別にCD売れっつってるんじゃない。
いわゆるBGMらしきヤツを流している写真屋に、
今まであまり出くわしたことがない。



みなさんのご近所の写真屋には、
あるいはこれを読んでいるあなたの店には、
音楽が流れているか?。
いーやそもそも、(写真屋に)BGMなんか必要なのか、
って言いたいヤツがいるんだろうな、いっぱい。


さて突然だが、誰でも一度は歯医者の世話になっているとおもう。
歯医者の待合室をちょっと思い浮かべてほしい。
大抵、かなり小さめな音量で何か流れてないだろうか。
それが有線なのかそこんチの先生の趣味なのかは知らない。
というか、そんなこと尋ねるヤツいねぇし、
大体どんな曲だったかなんて意識することもないとおもう。


「何が流れているか」なんか問題じゃない。
「常に何かが流れている」こと自体が重要。


じゃ、歯医者の待合室を想像してもらったら今度は、
アタマのなかで、そこからBGMを除去してやってほしい。


 床を叩くスリッパ。
 何かがやたら高速回転してそうなシュゥイーンていう音。
 種々医薬品の芳香に包まれ、ふと顔をあげると、
 歯科医業界作成しましたっぽい、子供にもわかる壁新聞。
 だれかの口んなか治療前生写真にビビる。
 することないから、こんなの見るしかない。
 そして・・・。
 子供の泣き声、いや悲鳴。
 泣きたいのはお前だけじゃない。


こんな状況下で、
あなたはリラックスできますか?。

もう解かってもらえたとおもう。



別に音楽流すかどうかは、そこんチで決めればいい。
ただ、今時の客というのは概ね、
昔の人みたいに、軒先から大声で奥の家人を呼ぶ、
みたいなことに対して、抵抗を感じるような層だ。
特別なことがない限り、必要以上の接触は全然なくていい。
コンビニみたいな店が繁盛するのも肯ける。
どんな合理的事由を以ってしても、
「いちげんさん」としてやってくる今時の未来のお客さんは、
殺風景で静かな、なんなら奥で洗い物してる音が聞こえてきそうな
そんな空間で、ついさっき初めてあった頑固そうなオヤジと、
膝を突き合わせて10分も15分も・・・。
そんなのが、すごく嫌なのだ。
そんなんなら、愛想の良くも悪くもないあとくされのない
コンビニのバイト君としゃべっている方がマシなのだ。
そんな不慣れな空間に待たされ居続けているような時、
そこにある静けさとは、もはや静けさでもなんでもなく、
単なるストレス、緊張である。
それを埋め合わせて有り余るほどの便益を、
あなたがそのお客に与えてあげることが出来なければ、
折角初めて来てくれたその人は、もう二度と、
あなたの前に現れることはないだろう。
たぶんご近所さんなんだろうに。



だいぶ前にテレビで、あるタレントがふと立ち寄った街の、
あるラーメン屋に入ったら、そこのカウンターの奥で、
そこの家の子らしき子がおもいっきり教科書やら広げて宿題
やってて泡食った、みたいな話をしていた。
私もこれに近い経験があるが、こういうのって、
なんだか他人の家に土足で上がり込んじまったような、
或いはパーティの招かれざる客のような、
ものすごいバツの悪さを感じてしまうのだが、
みなさんはどうだろうか。

上の例は少々極端かもしれないが、こういった
古い小さな店特有の難しい雰囲気の、緩衝材となるのが
音楽だとおもう。

それだけじゃない。
自己に対する人の意識を特定の方向へ持って行きたい、とか
自分の個性や特徴を補完するのにも音楽は便利だ。
例えば近所の店(八百屋でも電気屋でもよい)から、
オーティス・レディングとかジャミロクワイとか、
はっぴいえんどとかノラ・ジョーンズと流れてたら、
かなりよくない!?。
そこで売っている物は他と同じかもしれないが、
そんな店に出くわしたら、なんだかワクワクしない?。
ココの主人、なんか一癖ありそうな・・・とか。

ちなみに私自身が、音楽と消費活動を関連付けるような
科学的根拠を持ち合わせているわけではない。
でもさ・・。
もう一度言うけど、あなたの行き慣れているお店に
音楽が流れていることを確認したらさ、それをナシにして、
再度そのお店を想像してみてよ。
どんな気分になるか・・・。



長いことあるところに留まり、
一つのことをやってきたというのは、
それだけでスゴイことなのだけど、その反面
どんどん移り行く世間のエモーショナルな部分に
どうしても疎くなってしまうようだ。
歳のせいもあるのかな。
20年前は良くても今はダメ。
そうこうしているうちに、
やっていることはたいして変わらないのに
ソフィスティケートされたアピール上手な連中に、
近所の客をごっそり持ってかれちまうんである。
誰だって、
一度訪れてみて、なんか嫌な気分を味合わされた店からは、
自然と足が遠のくだろう。



ちなみに最近のウチでは、
荒井由美が流れている。
勿論、ウチのオヤジのセレクトである。



この記事へのトラックバックURL