2006年03月01日

写真屋をやめれば写真屋は潰れずにすむ?(3)

店内にて・お客様の作品
前回のつづき。


結局のところ、
突出した技術や設備も営業力も特色もない、
ウチのような零細写真屋がなんとか潰れずにやってこれたのは、
カメラ・写真が「好き」なひとたち(決して多くはないが)
を集めることに成功し且つ、
ウチを好きになってもらえたから。
コレに尽きる。

そんな「好き」な人たちだけど、じゃ一体、
ウチの「何」に対してお金を落としてくれていたのかというと・・・。

上記の方々からの売上は概ね以下3つ。
前に書いたように、一つは「会費」。
もう一つはフィルム、各種アクセサリ等物販によるもの。
そして現像・プリントである。
ま、以上についてはさしあたり解説しない。


前回、ウチが「サロン」のようだなどと、
いっちょまえに書いてしまったが、
撮影技術・作品等を競い評価し高めあい、そして楽しむというのも
〜硬い言い方だけど〜当然会の目的ではある。
だが、そうして長年集いを積み重ねた結果(いや過程?)、
ちょっとした社交場というか、オジサン達の息抜き場としての、
実は大変重要な、別の機能(つまりそれがサロン?)
を果たすようになってきていた。


だいたい皆さん、近所の自営業者が中心だ。
少し遠方の方もいる。
どなたも今まで相当なご苦労はあったことかとおもうが、
どちらかというと時間もカネも自分の思う様に出来る人達だ。
そんな人達を見てて分かったのだが、
直接目的(写真・カメラ関係)で来るのと同じくらいの頻度で、
全然違う理由で、もしくは別段何の用事もなく、
ウチに来るのだ。

もう大体想像つくでしょう。

そう、
世間話(ボヤキ・グチ)しに来るのだ。

ご自分の周辺ではなにかと言いずらいことも、
仕事関係や親戚でもないウチでは気楽に話せるようだし、
話す相手もいる。
タダでコーヒーやお茶も飲める。
これでも一応店だから、夏は涼しく冬はあったかだ。
昼夜問わず写真のことで大いに語り、
愚痴やらなんやらも吐き出して戴き、
ついでにバカバカしい話などもし、
気分善くしてお帰りになる。
お一人で来られても複数でも例会などでも、
その様態に大きな違いなどない。
昔から。


結果としてウチは、
「写真・カメラに関する便益提供」
という直接価値を中心に据えながらもその過程で、
ウチがサロン的性格を為すことにより
上顧客のための趣味嗜好も含めた、
いわばライフスタイル補完充足の一部となり、
周囲からは視認できない(←コレ商売上かなり重要)
広範囲の価値提供
(直接目的・非直接目的双方の精神的満足およびその相乗)
に(たまたま)成功した。

大仰御免。


ていうか、
そうでもなきゃよ、
カネだしてくんねえよな。


そのようなありがたい皆さんはなんと
さらにありがたいことに、
「紹介」という、
実に費用対効果の高い販促手段をも、
営業不勉強で不器用な我々に(タダで)与えてくださるのだ!。

それらは七五三や成人式、入学などのイベント時期に
特にその効力を発揮してきた。

また、
そんな風にして来る人等のなかには時折、
「そんなの別にヨ○バシとかで買えばいいじゃん、ポイントもつくし」
とおもうようなデジカメとか各種メディア、フィルムなんかも
わざわざ決して安くないウチなんかから
お買い上げいただいたりするのだ!。


足向けて寝れねえとはこのことか(多謝)。


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この記事へのコメント
5
はじめまして。
山梨の老舗(というだけの)写真屋を営んでます。
「エッセイ・ウチのこと」楽しく読ませて頂きました。
常連と、その紹介者で成り立っている状況、「私の店の事か?」と錯覚しそうになりました。

リンクさせて貰います。
Posted by 滝たん at 2006年03月03日 00:38
私も銀塩にしがみついている一人です。

趣味という事で・・・フイルムなくなるまで続けて行くつもりです。
Posted by utrillo at 2006年03月05日 23:19