2006年09月01日

レタッチはしないでください(第2回)

雑司が谷(鬼子母神かな?)あたりにて

前回の続き。

「レタッチ無用、撮るだけでいい」

これが何を意味するのか。

新規取引先への警戒か、それとも別の事情か・・。

ウチが「ゴマンといる写真屋の中の一つ」と言われりゃ、
そりゃそうだ。
あっいや、実際にそんなこと言われてはいないのだけど、
ロクに顔を会わせず仕事に入ってしまったこともあり、
なんだかそんな風に言われたような気になってしまった・・・。


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グラフィックデザイナーさんの業界全般について
別に詳しいわけではないが、
少なくともウチのお客さん達について言えることは、
やはり他の業界同様「依然として厳しい」ということだ。

たまたまだとおもうが、
ウチのお客のデザイナーさん達は皆、
商品パッケージのデザインをメインの仕事としているようで、
当然その商品メーカーさん等がクライアントということになる。
或いは、それらメーカーから印刷物等を受注したところ(印刷会社や広告屋等)が、
デザイナーさんのクライアントとなるケースがある。
元請になったり下請になったり、と言ったほうがいいかな。

で、一昔前までは、
「写真代(撮影代)」として別途費目を設けて
クライアントに請求できたらしい。
それがある頃を境にダメになった。
「デザイン料(一式)」としてしか請求できなくなった。
「勿論写真は必要、でも出せる金はコレだけ、デザインよろしく」
というワケだ。

つまり、事実上の強制値引きである。

するとデザイナーさん達は利益確保の為、
デジカメを手にし自ら撮影するようになった。

これがウチの仕事が激減した理由の一つでもある。

もともと写真屋よりずっと先にデジタル環境になった人等だから、
デジカメに馴染む(撮影自体にも)には時間はかからなかったろう。
もともと絵心のある人等でもあるし、
絵面などを指定したりする手間も省けるワケだから、
自分で済まそうというのは自然な成り行きだろう。
で、商売柄か結構ウマかったりするんよだな。
ウチの親父が随分教えてあげていた、というのもあるけど。
仮にそうでなかったとしても、イマドキの機材がいくつかあれば
結構それなりに撮れるというのは、
ヤフオクの出品写真なんかを見てもそうおもう。
スゴイ時代になったなどとはよく言うが、
ホントにそうおもう。

じゃ、ウチの商売完全にあがったりか、
というと、そうでもない。
さすがのデザイナーさんでも難しいのがでてくるのだ。
写り込みのキツいのとか、小さなブツで
おもいっきり寄らないとダメなヤツとか。
時たまそういうのがあるから辛うじて首がつながっている、
と言えなくもない。

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さて、
今までどの仕事でも、
レタッチは必ずやってきた。
いや正確に言うと
「レタッチ風作業」だったのかもしれない。

というのも、
先日パソコン周りでトラブったというのもあるが、
デジタルでの運用全般も含め、
実は今だに確信の持てない部分が多いのだ。

同業の人や写真関連の取引先なんかにも聞くが、
ウチなんかよりもはるかに
「デジタル環境ちゃんとおさえてます当然」みたいに見えてしまう。
隣の芝はナントカってやつかな。
でも皆、ウチ同様不安な部分は未だ多いみたいだ。
なのでつい「教科書」的存在をどこかに求めてしまうのだが、
どれを見ても誰に教わっても、
そもそも用語やモノの言い回しの難解さで
いくら丁寧な説明を受けても理解した気になれないのだ。
特に年寄り連中にはキツイようだ。
まあそれでも大分慣れてきてはいるし、
2年前に比べれば遥かにマシではある。
どの程度かは恥ずかしいので?詳しくは言わないが、
とにかく今現在我々のもつ、
最大の技術と知識でやっているつもりだ。
悩んでても仕方がないから
見切り発車でやり続けていたら、
なんとなく覚えてしまった、
そんなカンジなのだ。

で、そのレタッチ、
「やってくれ」と、
お客から指示されたことは
実は今まであまりなかったのだ。
じゃなんでやるんだよ、という話になるが、
「これからの写真納品とはそういうものなんだ」
みたいなようなことをどこかで目にして、
危機感ガシガシになりながらも
何冊ものフォトショップ本を片手に(この手の新刊まだまだ増えそうだね)
左端のいろんなツールやレイヤーいじったりして
「コイツはすげえ」ってのが分ったんで
やり始めたのだったとおもう。

いずれにしても、
とある下町零細商売人同士の、
仕事におけるアバウトさと言ったらいいのか。
こんな我々の有様を、
業界第一線で活躍中の方やそれを目指す人からしたら、
たぶん爆笑か呆れるかどっちかだな。

それでも本人達はアバウトどころか
至って大真面目なんだけどね。

じゃあそのレタッチだが、
特に指示されなかったのをいいことに、
もし何もやらなかったらどうなるのか?。
撮影だけやってデータ納品したら。

うん、
たぶんOKだったとおもう。

「えー!?マジかよー」
とおもわれるだろうか。

でも
お客のことをシッカリ見つめて考えてみると、
コレ別に大したことない、
実に納得な話なのだ。

次号に続く)

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