2006年09月26日

レタッチはしないでください(第4回)

もう街中でこんなの見かけることもないだろうな・・・
前回の続き。

「でけぇーなー、これ何千万画素だよ!」

私がよそから持ち帰ったある画像を、
店のPCて開いて親父に見せた。

3900万画素という、
デジバックのヤツで撮影された写真(生データ)に、
初めてお目にかかった瞬間であった。

・・・・・・・・・・・・・・・

先日、
正に第一線級と言ってもいい、
あるプロのレタッチャーの方と
お会いする機会を得た。

手掛けたクライアント名などについて、
ハッキリとは明かしてはくれなかったが、
一流大企業や大物アーティストものなんかを
(つまり大手広告代理店絡みのお仕事だとおもう)
扱っているのだなというのは、
話の筋道から十分伺い知ることができた。

この方、レタッチャーとしてだけでなく、
デジバックのオペレータとして仕事することもあるのだとか。
また、ある学校の講師でもあり、
デジカメ関連書籍での執筆も多数ある。

写真全般について小僧である私は、
その話のあまりのレベルの高さから
ほとんど単に話を聞いていただけの状態で、
まともな質問はできなかった。
でもとにかく
刺激的な一日だったことは間違いない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

もはや写真はレタッチありきで撮影される、
などとはよく言われるが、
これまた私にとっては
解かるようでどうかなという話ではあったのだ。

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 

ある某有名企業(名は明かしてはくれなかった)
の案件での話。

白人女性のバストショット。
体も顔も撮影者から向かって左に向いている。
その方向(向かって左)からメイン光源として
1500Wくらいのヤツが数発バウンス+ディフューズで、

 注:もしかしたらお詳しい方なら、この辺のディテールで
   矛盾を感じたり、中途半端な解説とおもわれるかもしれないが、
   それは速攻で書きなぐった私のメモが不明瞭たため、
   もしくは私の理解不足や勘違いからくるものであって、
   決してこの方の責任ではない。どうかお許しを。

向かって右にはモデルの女性に向け1発
というセッティング、
真上から見るとすると、モデルを点として
ハの字になっている。

ここでちょっとした問題が起きた。

モデルの着用している服の一部に、
うまく「色が出ない」箇所があるというのだ。

   〜どの業界でもそうだろうが、
    こういった「色が出ない」という隠語・俗語の類も
    新参者にはちょっとした障壁である。
    ストロボのやり方で色が実際より濃く写せたりするが、
    そのことだろうか。〜

クライアントからの要望は厳しかったらしく、
より細密な写真の解像感を出すことは必須命題だったようだ。
そういえば確かその写真、
B0(ゼロ)版に伸ばすって言ってた。
なら尚更であろう。

たまたま現場にいたその方は、
(実はたまたまでもなんでもないのが後に分ったが)
手詰まり状態のカメラマンから意見を求められたとか。
何かいい案はないですかねと。
するとそのレタッチャーさん、
「右のヤツのとなりで750wくらいでもう一発焚いてくれませんか」
と進言したのだ。

ホワイトボードに書きながらの、
そのあまりの詳細な解説に、
「この人、本当は元カメラマンなんじゃねえのか」
とおもったのだが、そうではないようだ。


従来のフィルムカメラでの撮影なら、
上記したような、既に強力な主光源と補助光のある中では、
小さく一発足したくらいではほとんど変わらず
あまり意味がない(とこの方から聞いた)が、
3000万画素級で最近のデジタルだと、
それが「ある」というのだ。
そのレタッチャーさん曰く、
以前なら無意味に近かった僅かなライティングの差が、
最新のデジタルだとそれがちゃんと反映されるとのこと。
その辺は、年中写真をPC画面越しに見ている
レタッチャーならではの視点、と言えるんじゃなかろうか。
また、デジバックのオペレータでもあるから、
その際は現場では恐らくMac開きながら、
リアルタイムで写真(データ)をみていることだろう。
ここのハイライトやジャドウの数値がどうだとかも
シッカリおさえておくのだとか。
そうやって、単に後処理するだけではない、
撮影後の「後行程」から撮影の現場を見れて且つ、
口も出せる人なのだ。

  

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「現場に行ける(行く)レタッチャーであれ」

というのが、この方の主義である。
現場にいたのは「たまたま」ではない。

上記のような現場でのエピソードも交えて
その辺の理由をお話いただいた。

講義というよりは雑談に近いその話に、
私はおもいっきり引き込まれた。
その時の持っていた手のひらサイズのメモ帳は、
あっという間に数ページ真っ黒になり、
3分の1は今でも判読不能である。

次号に続く。

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この記事へのコメント
5
面白かった!サンクス!
Posted by YODA at 2006年09月29日 07:08
YODAさん

ありがとうございます。

今後もこんなカンジで下世話にいきたいとおもいます。
よかったらまたお越しください。

Posted by 東京下町バカ写真屋 at 2006年10月01日 10:04