2007年09月21日

続・ウチの地域は写真屋激戦区かも?(第1回)

合掌・台東区谷中にて
ウチから数分歩いたところに
ある写真館がある。
歴史も長く立地もいい。
店構えなんかもウチに比べて全然立派で、
ショウウインドウの写真なんか見ると、
技術も確かだとおもう。
恐らく近隣の人等は写真館といえば
そこを思い浮かべるに違いない。

この店と別に仲が良くも悪くもないのだが、
ウチから最寄の老舗同業者として一目置くのと同時に、
私自身は妙な縁というか距離感を感じている。

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先日、ある近所のお客サンが
かなり古い写真をドッサリ持ってウチにやって来た。
勿論仕事である。
もう70過ぎの常連さんで、
今でも積極的に写真展を開催しているような
結構気合?の入っている方だ。

で、それらはご自身の幼少時の写真だそうなのだが、
そいつをスキャンしてある程度キズなんかも修復してやって
キャビネ版あたりにプリントしてくれということだった。

どうやら「自分アルバム幼少時代編」らしきものを
を作りたかったようなのだ。

この方当然写真好きであるがカメラ収集癖もある。
しかもみな高級品。
とても裕福な方で、所有機材をみると
ウチとどっちがプロなんだよと言いたくなる。
ハッセルやライカ、コンタックス等、考え付く高級品は
だいたいお持ちのようだ。
ただそのことを奥様にはまったく快く思われていないようで、
購入したカメラ・レンズの外箱は皆ウチが保管してあげている。
見つかると「アンタまた買ったの!?!」と怒鳴られるからだ。

それらのお持ちいただいた写真、
よくある見慣れた古い写真とは雰囲気が幾らか違っていた。
恐らく終戦後間もない頃のものが多かったとおもうが、
当時にしては着るものが違う。キレイで質が良さそう。
それに、ありがちな硬い表情ではなく、
本当に幸せそうな屈託の無い笑顔が多かった
(子供は皆そうかもしれないが)。
そんな恐縮や畏敬の念とは正反対の無邪気な彼の様子が、
最新の道具や撮られることに慣れてるようにも見え、
そんな様子がどことなく
裕福っぽい雰囲気を醸し出していた。

ウチにも古い写真は山ほどあるが、よく持っていたもんだな。
中には小学校校舎の屋上から朝礼の様子を撮ったヤツもあって、
あー俺ん時と一緒だなーと、大変懐かしく思った。
その小学校、私の母校でもあるのだ。
この方(家庭)がいつ頃からカメラを所有していたかは知らないが、
学校モノは勿論、家族の写真なんかにも
プロによるものが多く含まれていた。
シッカリした絵面で私でもすぐにわかる。
なかでも少しあらたまった写真には当時からやはり、
白縁の右下隅にシッカリ店の箔押(印)がある。
「○○区○○町 ○○写真館」と。

ウチではない、その近所の立派な写真館である。

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私の時もずっと、
この写真屋はこの小学校の出入業者であった。
だから何度かこの写真屋を目にしていた。
入学式や卒業式その他校内における催しモノ等。
あるいは受け取った写真の白縁右隅にその名前を。

「どーしてウチじゃねえんだ?」などと
疑問に感じたり悔しく思うことはなかった。
あっちの方が幾らか立派なのはガキの頃から知っていたし、
自分チの商売に対する興味や思い入れなどもなかったから。
ハッキリ言えばどうでもよかった。
昔の親父は気分屋で理解不能なほど感情を昂ぶらせることがよくあり、
そんな様がとてつもなく鬱陶しかったし恐怖でもあった。
だからそんな親父の領分にはあまり関わりたくなかったのである。

今思えばそのことが、何十年もの間、
私から写真・カメラを遠ざけていたんだとおもう。

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この写真館には息子がいる。
私の弟と同校同級である。
同じクラスになった年もあったらしい。
だが親が同業だからといって
学校で変に意識したり反目し合ったりというのはなく、
むしろ仲は良かったとか。
そういうことを変に意識したりするのは、
むしろ周りの大人達なんだろうな。
現在はソイツが店をちゃんと継いでいるようだ。

場所はウチから近いのであるが、
私自身はその店を通り掛かったりすることは
ほとんどなかった。
そのことに特別な理由はなくて、
単にその地域での大した用事がいつもないだけである。
なので、集合写真を撮られる身でなくなってからは、
その写真館を意識したりすることは自然となくなり、
ほとんど記憶から消えていた。

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だが、
それから随分経った数年前の
初秋のある日、
久々にこの写真館を目にする機会があった。

新聞の折込チラシである。

初めてであった。
あの店のチラシを見るのは。

見て驚いた。

ライバル店として脅威に感じたからとか、
そういう理由なんかではない。

そのチラシのつくりが
あまりにもひどかったからだ。

次号に続く。

補遺;
ちょいと訳あって長い休みになってすいませんでした。
まだまだ止めるつもりはないです。
どうかまたよろしくお願いします。

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