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さて、
ではウチが販促の類を全くしなかったのかというと
そうでもない。
もう20年以上も前のことであるが、
ウチはチラシでなくDM(ダイレクトメール)をやっていた。
でも最初から顧客リストなどあるわけなかった。
で、なにをやったのかというと、
区役所に行くのである。
なんと、住人名簿を閲覧させてもらうのだ!。
そんなことが可能なのか。
今現在の感覚ではトンデモない話である。
まず最初に「これを絶対に悪用しません」という旨の
誓約書を書かされる。
このくらいは当然であろう。
〜いや、というか
この程度で役所が第三者個人情報を開示するなんて
今の感覚じゃ信じられないが、でも実際あったんだよ。
今はどうなんだろうか・・〜
「閲覧」であるから当然見せてもらうだけである。
持ち出し厳禁は当然、コピーも不可である。
ということは、名簿見ながら要件に該当する箇所を探し出して、
ひとつひとつ転記していくことになる。
七五三や成人式であればそれに相応の歳があるから、
名簿の中からそういう人物を特定していくのだ。
今年は○○年だから3歳なら昭和○○年生まれの子だね、とか。
とはいっても、
年齢別に別途名簿が存在しているでもなく、
結局世帯ごと住人名簿(という名称かどうかは知らないが)の中から
そこに該当する歳の人がいるかどうかを、
一件一件調べ見つけ出すしかないのであった。
そして成人式なら親御さんか本人宛、
七五三であれば該当する子の親御さん宛に
DMを送るのである。
本当にかったるい作業であったようだ。
私は経験ないのだが、
この作業は主にウチの母、そして弟が手伝いでやっていた。
だいたい我が店を中心として
半径約300メートルほどの範囲で探していたらしい
「えっ、そんな狭い範囲?」と思うかもしれないが、
東京の下町は住居密集地帯なので、
そんなもんでいいのである。
それ以上広げると他所様の縄張りに食い込んで
波風たててしまうかもしれないからといった、
そのあたりへの配慮なのかもしれない。
だがその程度の範囲でも多い時は100件ほどにもなった。
当時母が「3人来てくれれば十分もとが取れるから」
と言っていたのを覚えているが、
無理にそれ以上DM出す必要ないと判断したのだろう。
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ところで、
今だからこそ言えることだが、
DMやチラシの反応率(成約)が
5%とか1割以上というのは、まずないらしい。
販促専門家に言わせればとんでもねえ話のようだ。
もちろん業種や商品、地域にもよるのだが。
チラシであれば1000部撒いて数件反応(必ずしも成約ではない)が
あればいい方だとのこと。
それも昔の話で、今はもっと厳しいらしい。
問い合わせなどのあった、ある程度の見込み客であれば、
そこからの成約率というのはそこそこ高い場合があるが、
いきなりDMやらチラシ撒いたくらいで
ハイ買います、とは普通いかないよな。
もちろん、
そういった科学的考察など、
我々には無縁であった。
このDMというピンポイント爆撃にしても
単なる思いつきである。
じゃあ、実際どうだったのか?。
お客は来てくれた。
DM費用はちゃんとペイできたか?。
できたのである。
ただその結果は、
DMの効果が反映されたと言うには
程遠いものであった。
どういことかというと、
撒いたDMと関係ないお客が多かったのだ。
確かに、DM見て来たというお客もいたことはいた。
ごく少数であるが。
それよりも、
親父の友達の近所の人とか、既存のお客の親戚とか、
たまたまウチが空いてそうだったから(!?)とか、
そういう類のお客がほとんどだったのだ
(これについては今もほとんど変わらない)。
さてどうだろう。
DMの出来不出来からくるものか、
またはDMの威力そのものが大したことないとか。
それともウチ自体が地元地域から
自分達が考えているほど支持されていないとか、
店商売ってのはそういうものだとか、
それとも同業者がウチの近所まで侵食してきているとか。
幾通りにも解釈できよう。
まあどっちにしても、
こういうことは大抵
思い通りにはいかないものだよな。
恐らくDMについては、
やってもやらなくても、
結果はそれほど違わなかったのかもしれない。
検証という面倒な後始末をキチンとしないウチの親でも、
そのくらいのことは感じたようだ。
だったらわざわざ苦労してDMなんかよ、
ってなわけで、
このダイレクトメール作戦は
ほんの数回で打ち切りとなったのである。
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宣伝なんかしなくても
お客は来てくれる。
こうして下町の写真屋は再び、
『思い込み』で商売道をひた走るのである。
次号に続く。
Posted by bakashatokyo68 at 21:29
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エッセイ・ウチのこと他