2008年03月30日

やはり写真屋としては無視できない2、3の事柄(第7回)

浅草神社(浅草寺じゃないよ)にて
前回の続き。

先日、久しぶりに入った
ある池袋の某大型商業施設で、
ちょっと興味深い光景に出くわした。

そこへ店子として入っていた
写真屋の店頭でのこと。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「暫く来ねえと随分変わっちまうなー」
「あれここにこんな店あったっけ?」
こういった商業施設はやはり
テナント入れ替わりが激しいのだろうか。
いわゆるギャル系とか109系?(渋谷の)とか言われる
自分には縁遠いギラついたショップが多い場所にいた私は、
新鮮さを通り越し妙な疎外感に包まれていた。

そうやってブラブラしている中、
同フロア奥の地味なところに小さな写真屋を発見した。
よく百貨店なんかのフロア奥で靴修理とか
どこかのサービス系企業の小さい出先窓口とかがあるが、
あんなカンジだ。
他の賑やかなショップに比べそこは、
什器の位置とか雰囲気や壁のヨゴレ具合等から、
恐らくだいぶ前からその場で商売してたようにおもわれた。
こう言っちゃ失礼だが何のヘンテツも無い
普通の写真屋である。

そんな写真屋ではあるが店頭には、
メディア突っ込んでプリントしてくれる、
例のあの機械が2台あった。
なんだかんだ言っても今の店である。

さらにそこは少ないながらも中古機材も扱っていた。
オリンパスとかリコーあたりの昔のコンパクトとか、
あとはレンズ、それとライカのM5なんかも置いてあった。
私個人的には嬉しかったが、
果たしてこれを目当てにココに客がやってくるかな、
とも思った。
わざわざやって来たカメラ好きを満足させるには
あまりに少ない品数である(余計なお世話だとはおもうが)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

さて、
その店頭の中古品を眺めていた私の脇で、
外国人数名の集団が
2つあるプリント機の片方を取り囲んでいた。
大人男女各2名とベビーカー、観光客だろうか。
画面を見ながらプリントする画像を選定中であった。

とその時、
「すいませーん、これお願いー」
と私の背後から男性がやってきて、
何か小さなものが握られていた右手を
店員に向け突き出した。

SDカードである。

すると何の躊躇もなく店員が
さっとカウンターを越えて出てきては
その男性からSDカードを受け取った。
そして、
前出の外国人が使用していない方のプリント機へと
客を誘い、店員自らメディアを機械に突っ込んでは
画面をピッピッと数回タッチした。
そして「ハイどうぞ」と言い
その男性客に機械正面と後の操作を明渡したのであった。

この機械って、
デジカメプリントのセルフサービス化を
実現するんじゃなかったっけ?。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ウチには、
デジカメは使うが自分ではプリントしたくないのよ、
だからお宅でやってよ、という近所のお客が時々来る。
理由はPC苦手とか持ってないとか、
自分じゃミスるとか面倒くさいとかそんなところで、
本章でこれまで書いてきた通りである。
しかしこういった繁華街の写真屋の、
しかも例のデジカメプリント械があるようなところにも
同じような人が来るとはね。
あ、理由は断定しちゃいけねえよな、
聞いたわけでもないんだし。
ちなみにその男性、
たぶん私と歳は大して変わらないとおもう。
ショッピングがてらに来たというよりは
仕事の合間にやってきた近所の人っぽかった。

そういえばかなり昔、
フィルム装填取出を失敗するのが怖くて
全部写真屋でやってもらう客が少なくなかった。
そういう人たちは、
フィルム買上時にカメラを持参してもらい、
その場で装填して差し上げる。
そして撮影後はフイルム入ったままのカメラを
持ってきてもらいウチが取出すのだ。
昔のレバー巻き上げ式のカメラは
よく失敗することが多かったからね。
小学生の頃の私もフィルム何本かダメにしたな。

となると結局、
上のSDカードのお客はさ、
自分は撮る「だけ」で
それ以外を他人にやってもらうという点では、
昔のフィルムカメラの客と
同じということになるね。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ウチのような店が、
デジタル化の恩恵を受けているのは
このブログで書いているように間違いない。
しかし、
上のような末端消費者が、
同様のものを感じているのだろうか。
上の例のように、
デジカメ撮ってカメラごと店に渡したり
メディア店員に渡したりするユーザがだよ、
「いやー写真デジタルになってホント便利だよねー」などと、
果たしてどの程度おもっているだろうか。

気になるところである。

次号に続く。

人気ブログランキングへ・クリックお願いします!



この記事へのトラックバックURL