2008年05月24日

やはり写真屋としては無視できない2、3の事柄(第10回・結)

明治神宮にて・その2
前回の続き。

「景気悪くて」と、
商売がウマくいっていない人が言う。
大抵は皆、
私なんかより何十倍も努力したし
辛い目にも遭ったし真面目で本当にいい方ばかりだ。
心より同情申し上げる。

しかし、
「景気」という名の、
何か論理的に説明のつく事象・存在が、
ある日あなたのところへやってきて
あなたの商売をムチャクチャにしたりする
ワケではない。

こういう話をしたら、
バカにされた気になったらしく少し怒った人がいた。
クソ生意気にも給与所得者の私が
こう言ったのだからムリもないか。

でも私にはどうしてもその人に、
自分の現在を他人のせいにする心が見え隠れして
仕方がないのだ・・・。

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言いたいことは以下三つにまとまった。

では一つ目。

我々写真業者は、
「デジタルの時代」とやらのお陰で
一部で生贄を出しながらも、
短納期化やコストダウンの実現等の
恩恵を受けている。

しかし、
だからといってその我々が、
一般消費者の利便や都合までをも
肯定したり否定したりするのは、
本来おかしな話である。

今現在未来をどんな言葉で表現しようが、
どんなに科学技術が発達しようが、
かなり多くの場面で相変わらず
専門技術を有する他者の介助を得なければ、
その製品やサービスの良さを享受できない人は
ある程度でてくる。
その内の何割かはやがてそれらを会得するだろうけど、
そこまでしても脱落する人、
また何らかの理由でそれらを拒絶する人もでてくる。
前にお話した池袋の写真屋のお客のようにね。
でもその人には、
何の落ち度も責任もないのだ。
どのサービスを選択するか、
そのサービスを利用するしないかは、
その人の自由である。
A2顔料インクジェットプリンタ所有の人だって、
L判プリントしに量販店に行ってもイイわけだ。
我々がするのは紹介し提案するところまでであって、
決めるのは客である。
そしてそんな人々が私の店を、
あなたの店を目指してやって来るかもなのよ。
看板を出して商売やっているかぎりはね。

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二つ目。

マス媒体情報も依然として重要だし
個人が社会全体を広く見据えようという気概も大切である。
が、単なる文字情報から要らぬ妄想膨らませて、
自分の抱える顧客や消費様態への認識を
歪めてはならないということ
(一番そうなりそうなのは私かもしれないが)。

マクロ的視点でモノ書く人の物言いと、
我々一商売人のソレが同一の文言であったとしても、
内容は別のことも多い。

世で一般に言われているコトと
自分の商売とは当然無関係ではないけれども、
両者を直結させて考えてしまう時、
多分その多くは幻である。

フィルムカメラの統計とるの止めたことを理由に、
自分チの周辺住民のフィルムカメラユーザーが
一斉に手持ちのフィルムカメラを処分するワケではない。
統計が無いことを理由に
全国の小売店が一斉に在庫処分するとも考えにくい。
「市場終焉」と新聞に書いてあったとしても、
それが今日の客が明日から来ないことの理由になるかなど、
そんなの分かるわけないのだ。

我々の小さな商売に、
アタマのいい他人が作った小見出など
一切無用である。

要るとすれば自分で考えるべきだ。

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三つ目。

写真好きにとって、
今そしてこれから暫くの間は、
実はとてもいい時代なのではないか、
ということ。

ユーザ側からすればどちらかというと
選択肢が増えているように思えるから。

フィルム・暗室なんかも含め、
我々はなにかとすぐ「〜が消滅する」「〜はもう終わりか」
などといいたがる。
その仕事の多くをデジタルで行っているせいからなのか。
しかしどうだろう。
確かに消えかかってはいるが
何一つ完全に消滅したものはない。
今のところ
(個人的にはスポッティングカラーがないのは悲しいが)。

デジタルプリント店頭受付機や
インクジェットプリンタにしても、
その行く末をどうのこうのと言ってみたけど、
例によって私の空想の範囲内である。
当事者に話聞いたり生産・出荷台数調べたワケでもないし。
単に身の回りと、近隣を廻って見た印象だけである。
それすら気にしなかった前に比べればマシかな。
ただ両者はやはりある点で競合関係にあると思ったから、
どちらが有利かなど考えかけていた。
 〜TVCMなんかでも分かるけど、近年のプリンタメーカは、
  ビジネスユースというよりはむしろ、
  明らかに一般デジカメユーザを強く意識しているよね。
  デジカメ自体の売行きからすれば当然かな〜
しかし、どちらも消費者の選択肢の一つと考えれば(当然だよな)、
それらを対比させ順位付けする方が間違っているのかも。

店頭での人的受付と機械によるセルフサービス、
そして家庭利用のための機器販売。
写真が欲しいということでは同じだ。
総合小売・サービスとしては、
可能な限りく多くのチャネルを有していたほうが、
ビジネスとしては有利だし自然なことだし、
それが消費者のためでもある。

上の話にも掛かってくるが、
例えば東京から大阪へ行くのに
飛行機が一番イイからといって、
列車や高速バスといった他の手段を
あえて廃止にしなければならない理由はない。
何か特別な問題がない限り、
それらが互いに競い共存してくれている方が、
我々にはありがたい。

どっちが有利でどっちが不利とかいうのは、
きっと私の余計なお世話なのだろう。

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つい先日、
友人が写真展を開催するというので見に行った。
そこであるプロのカメラマンの方と遭遇した。
そのギャラリーの別フロアに用事があったらしく、
そのついでのご来場のようだった。
某雑誌でも有名な方である。
案の定、質問攻めに遭っていた(私もその内の一人)。
なんと、運良くその方携行のMacBook内の画像を拝見させていただいた
(なんという幸運!)。
アフリカ某国での野生動物の写真であった。

「今回の旅でだいたいデジタルで数万カット、
  フィルムも200本くらいですかね(!)」
    (↑ごめん、実は数字正確に覚えていなくて。桁は合ってるけど)
「まあフィルムの方は今後だんだん減っていくでしょうけど」。

何が驚いたってさ、
そんなにフィルム撮ってんだー。

(『やはり写真屋としては無視できない2、3の事柄』全10回 おわり)

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