2008年07月31日

写真屋が「パスを描く」ということ(第3回)

台東区入谷朝顔市にて
前回の続き

無事すべて撮り終え、
画像を修正調整し、
そして納める。

いつもならそこでおしまいだが、
今回はちょっと違った。
お客の印刷屋さんがこう切り出した。

「コレさー、背景透明にしてもらえないかなー」

ようするに、
『写真屋よオマエが切り抜け』ということである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

デジタルになってよかったなと思うことは
いくつもある。

例えば、
一流コマーシャルフトグラファーが
大型専用スタジオとかで撮影している際、
いわゆる「アタリ」データを現場でADやクライアントをはじめ、
デザイナーやレタッチャーに渡したりする。

そういったことが、
ウチみたいな写真屋でもできるようになった。
このことは、
写真屋だけでなくお客にとってもかなりよいことだ。
仕事の後先が見えるようになるし、
失敗を早期発見することもできる。
お互いに不安が少ない。

勿論出力しなくとも、
モニタ見るだけでも十分効果があるとおもう。

ともなれば、
「あーしてこーして」と
客の要望が高度化していくのは、
自然の成行きなんだろうけど・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その印刷屋サン、
事前にほぼ全てのカットを
ウチのモニタで目を通していたので、
写真がどういった具合かは概ね把握していた。
それをもとに、
納める前に新たなリクエストを伝えに来たのだ。
だがその話に、
私はどうもスッキリしなかった。

「イヤーたくさん撮ってもらったんだけどね、
 実はアチラさんがかなり予算ケチってるんですよ。
 それでね、どれを使うか、これから選定してもらうんです。
 ウチね、あそこの仕事何年もやってるから分かるんだけど、
 いつも写真点数少なかったかなーって、後悔したりするんですよ。
 だからね、『もっと使った方がいいじゃないですかー』て
 言ってはいるんですけどね、今回も。だから沢山撮ってもらったし。
 だからね、実際にはこうなるんですよ、ってのを(切り抜き画像のこと)
 を見せてあげれば、いくらか載せる気になると思うんですよね。
 だがら候補の何点かを実際に背景透明にして、
 実際に出力したやつを見せてあげたいんですけど、
 お願いできませんかねー・・」

ということであった。
一見クライアント想いの
実にまともな要望にも思えるが。

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予め申し上げておくが、
この印刷屋サンは大変いい方で、
悪気など全く無い。
極めて真面目に申し出ている。

であるのだけど、
どれを使うかなんて、
向こうで決めてくれりゃいいじゃん、
コッチが納めた後にね、というのが
私の正直な気持ちである。

店や業者や取引にもよるだろうが、
普通は「実際に撮ったカット数×単価」で請求することなど
まずない。
フィルム時代で例るなら「納めたポジ×単価+諸費(出張費等)」
っていうふうになる。
お客の立場からもそうなるのが自然だとおもう。
だって受け取らないものまで請求されるのおかしいでしょ。

で今回の話では、
ウチがデータとして納める以前に、
それ以上のカット数を実際に切り抜いて
出力してくれないか、と言っているのである。

単に出力するくらいまでなら、
まあサービスとしていいと思う。

レタッチ付きでも、
画像(写真)そのものに関することだしー、
撮影の腕前にも関係しているので
んーまー仕方ないか、ってなカンジだ。

しかし、
「切り抜き」ともなると、
それはもはや
写真屋ではなくデザインの領域ではないか。

しかも、
あちらサンが受け取る〜、
〜つまりコチラが請求できるのは、
実際にやった作業(切り抜き画像)のうちの一部となる。

「仮の大雑把な切り抜き程度でいいじゃん」
と考えられなくも無かったが、
そんなことするくらいなら
最初からマジ切り抜きをやってしまう方がマシに思う。
私個人的な感覚なのかもしれないけど、
切り抜きの仮作業なんて二度手間に近い。
当然モノにもよるのだけど、
「とりあえずキズシミだけちょちょっと消してさ」
的なものとは、実際の労力としても精神的にも違うと思う。

『体よくコキ使われてるな』

なんとなくそう感じた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

仮の大雑把なレタッチとして選択範囲作るのと、
切り抜きの境界線作る作業とを、
同列に捉えることができないのは
私だけなのだろうか。

これを単に労力の問題とは思えないのだ。
労力の問題であるならばウチが文句言わずに
頑張ればいいだけの話である。

しかし、
撮影後のデータに撮影者がどの程度まで関与すべきか。
いつの間にか筋合いの違うところに入り込んでないだろうか。
そしてそれらが商売の筋道として皆が納得できるか。
金辺りのことでトラブルにならないだろうか。
一商売人の立ち位置みたいなものが
こんな風にズルズル曖昧になっていくというか、
なんとも落ち着かないのである。

ところが、
そんな私とは逆に、
ウチの親父はそんなこと、
全く意にも介さない様子であった。

次号に続く。

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この記事へのコメント
久しぶり。たまにちょくちょくのぞいてるんだよ。先日はライブの写真ありがとう。写真屋のことってよくわからないけど、商売って大変だよな〜、お客ってま〜勝手だから本当に好き勝手いうんだよ。私も自営だからそのへんよくわかるよ。
Posted by KSG at 2008年08月15日 09:52
こんにちは。

そのハンドルネーム見て一発で誰だか分かりました(笑)。

商売の大変さは私なんかより何百倍も
KSGさんの方がお解かりでしょう。
自分トコとはいえ、経営者でもないくせに商売を面白おかしく書いている私は、
本当のバチアタリなのかもしれません。
ただ、本気で何かを感じ取ってやろうと接してしていれば、
こんなブログ書ける程度になるのは間違いないようです。
ま、大部分私の妄想ですが(笑)。もう3年半になります。
宜しくお願いします。

あ関係ないけど先日中古シンセ買いました。
Posted by 東京下町バカ写真屋 at 2008年08月15日 10:52