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ウチの親父とこの印刷屋の爺さんは、
退屈した折などに互いを行き来したりして
親しくしていたようだ。
どちらも最近パソコンを始めた者同士、
しかもWindows同士ということで
(写真屋と印刷屋が共にWindowsとは!)
そっちの話でよく盛り上がったとか。
ある日、
ウチのPCの様子がおかしくなって
この爺さんに助けを求めたところ、
爺さんがヘンなところイジって画面が横位置になり
(真下のバーが左横に来て、アイコンも全部横向き)
そのまま直らなくなったことがあった。
たまたま爺さんのお客でPCに詳しい方がおられて、
ウチとは無関係なその方も巻き込んであーだこーだとやり始めた。
で、その方も分からなかったらしく、
親切にもケータイで知り合いにかけまくって尋ねてくれた。
ようやくある一人の方の指示で
カチカチとクリック数回であっけなく直った。
またある時、
親父からいきなり
「お前の古いプリンタあるだろ、アレお隣に貸してやってくんないか」
と言われた。
「USBじゃなくてシリアル接続だけどいいのか」といったら、
それでいいという。
今度は爺さんの方でトラブルだ。
プリンタがダメになり買い換えたいのだが、
PC自体が相当古く最新のヤツは合わなさそうとのこと。
今一時借りるだけだからという申し出であったが、
棄ても金かかりそうだし売れないだろうし、
これで喜んでくれるならということで、
お貸ししてそのまま差し上げてしまった。
その後問題なく作動し、
仕事に穴を空けずに済み追加投資もなく設備補強?できて、
とても喜ばれた。
その後、
この工場の前を通りがかれば、
思わず机の上にある
見慣れた黄ばんだ白い箱が目に入る。
いくらかお役に立てたようで良い気分だった。
この爺さん、親父には
「俺カラダきついしもうすぐやめるからさ、
おたくも印刷屋一緒にやったらどうだい、機械もやるから」
みたいなこと冗談でよく言っていたらしい。
確かにご高齢で病み上がりだし、そう長くはできないのだろう。
私もいずれこの爺さんと一度くらい、
ちゃんとお話したいなーなどと思ってはいた。
だが、
それが実現することはなかった。
ある日気が付くと
大きな窓の向こうは全て白いカーテンで覆われ、
軒先にあった看板代わりの張り紙も
キレイに剥がされていた。
私の知らぬ間に
爺さんは工場を閉めた。
やはり体力的限界からとのこと。
わずか3年程の、
短いお付き合いであった。
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この爺さんは、
己の身が発する声に素直に従い、
引き際を自分で決めた。
しかし、
かつての私の勤め先の社長は
そうはしなかった。
いや、
そうしたくてもできなかったのか。
人の話を聞かず無茶して働きすぎた結果なのか、
それとも、
悲鳴をあげる身に鞭打ってまで
働かざるを得なかったのだろうか。
いずれにしても今となっては
確かめようもない。
次号に続く
(やっぱり長くなったのでもう一回やります)。
Posted by bakashatokyo68 at 23:12
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エッセイ・ウチのこと他