2009年01月26日

写真屋の祭典?(第1回)

当日の様子(モノクロで撮るもんじゃなかったな・・)
もう半年以上も前のことだが、
お台場の東京ビッグサイトにて
ある催し物が行なわれた。

平日2日間行なわれたこの催しに、
私は仕事をズル休みして
行ってきてしまった。

そこまでしても行きたかったである。

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私は今まで、
主に身の回りの狭い地域で起こったことを元に、
このブログを書いてきた。
周知の通りほとんどバカな随筆であるが、
基本的に私の感じたこと思ったことなわけで、
まあ嘘ではないつもりだ。
しかし、こういった全国的イベントであるから、
私の偏った考えに何かの刺激(矯正?)を
与えてくれるかもという期待はあった。

(主として)営業写真館向けの見本市なのである。

業者向けの展示会であるから、
一般の方には馴染みの少ない会社が多い。
だから新製品をいじろうと
カメラやレンズメーカーのブースは人だかり、
という光景もない。

ざっと見ると、
地域の営業写真館、プロラボ、印刷・製本、アルバム・台紙、
プロ用機材・感材(メーカー、卸、輸入代理店)、設備系サービス、
ソフトウエア、カメラメーカー、家電メーカー、
レンタル衣装、各種出力サービス、
等など、85社198小間出展だそうな。
2日間ぶっ通しで無料の講演会や、
有料のプロ向けワークショップなども併催されていた。

実は各ブースをそんなにジックリ見てはいない。
当日寝坊して時間がなかったこともあるが、
会場の中央でほぼ引っ切り無しに
なんらかのセミナー・講演会が行なわれていて、
どちらかというとそいつが目当てであった。
だからどうか、
専門誌のようなまともなレヴューなど期待しないでほしい。
というか私の書くことではないと思う。

ただざっと見ただけでも、
非常に刺激を受けたことは間違いない。

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今回のイベントにて
感じたことがいくつかある。

一つ目は、
「この業界、結構前向きなのかも」
ということだ。

主催者のHPや案内ハガキとかをはじめ、
色々なところに趣意説明みたいなものがあるが、
業界の危機感とか悲壮感とかは全くなく、
完全に前向きな表現で埋め尽くされている。
「映像マーケットの拡大に挑戦」とか
「(ビジネスが)発展的に構築を続けている」とか
そんな感じである。

また、
ある地方の写真館の方のセミナーでは、
その案内文冒頭などにも、
明らかに市場に対して前向きな認識を示す表現があった。
「いま、プリント需要の伸びとともに〜・・
  〜などの各種様式への出力も伸びています・・」
「デジタル出力ビジネス〜ますます伸びる市場です・・」
とこんな具合である。

〜ちなみに上の「各種様式」というのは、
 フォトブックやポストカード、カレンダー、ネットプリント、
 小物雑貨への転写加工とか、そういったものを指している。

市場拡大を確信しているようだ。
プリントの需要の伸びをもはや「前提」としてしまっている。

基本的に業者(写真館)向けのイベントであるから、
全体的な趣旨としては自ずと
『出力(プリント)をいかに増やしていくか』
(換言すると『いかにエンドユーザにプリントしてもらうか』)
というところになる。
『多ショットから多出力へ』というキャッチフレーズを、
このイベントのどこかで見かけたのだが、
『多ショット』とは文字通り沢山撮ってね、ということである。
これはカメラメーカーさんの努力等で、
だいぶ実現してきているように思う。
デジタル化のお陰でウチら業者もバンバン撮れるし、
デジカメ自体の売上もそれなりに好調だし。
で問題はその後それをどうするか、
末端消費者にどうしてもらうか、だ。
どの企業もどのブースも展示するものは違えど、
最終的に目指すところはコレなのだ。

とにかくこのイベント全体に、
前向きな空気が流れていたように感じた。

まあ景気が悪いからといって、
こういった催しにあえて
「瀕死のこの業界をなんとか・・」
などという冠を載せることはあるまい。
暗い顔していたって何も始まらないからね。
そんなところには誰も集まってこないし。
だいたい業界の中でもひときわ元気のある企業サン達が、
こういうところへ出展しているのだ。
そんな風にして前向きに人一倍努力するからこそ、
新サービス開発したり客や売上が増えたりして、
だからこそ「伸びている」ことを感じるのだろう。

そしていつでもどこでも、
結局こういった人達が先頭になり
市場を引っ張っているのだと思う。
ビジネス系セミナーなんかと同様、
その他大勢の「普通の人達」は、
こういった立派な人へ賽銭を払うことで
少しでも肖ろうとするのだ。

ここはカメラショーではない。
ブースでは商談も行なわれている、
BtoBの催しである。
出展者にとって来場者は客であり、
同業者でもある。

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世間はこういった前者後者の関係を、
どちらかというと悪しきニュアンスにて
「勝ち組み・負け組み」として表現することもある。
いつも思うことだけど、
こういったキャッチフレーズひとつで、
コトの様態全てを表すことはほぼ不可能である。

確かに一業種の中に、
ほんの一握りの優秀な人等と、
それ以外大多数の凡人という区別が可能かもしれない。
収入も当然違うだろう。
でもそんなのは自然の摂理ってもんだ。
両者に区分けがあったとしても、
幸不幸の線引きなど存在するのか。

〜あるビジネスを最初に始めて儲かった人は、
 そいつをネタに後発同業者に切り売りして儲けることができる〜
コトバは悪いけど、そういうことだ。
頭のイイ人等は、
ライバルが全くいないと
かえって自分が儲からないことを、
よく知っている。
未だ誰もしらないサービスや製品は、
ある程度の後発参入があってこそ市場が拡大し、
そうなってこそ先発である自分も儲かるのだ。

とにかく、
一番最初に物事始めるのは
かなりのパワーと勇気が必要だ。
犠牲を伴う覚悟も必要だ。
そうやって誰かしらが、
リスク覚悟で市場を切り開くのだ。

こう考えてみてもいい。
この展示会に参加している企業サン達は、
なぜここにいるのだろうかと。
彼等は我々写真屋を、
儲けさせようとしているのだ。
自分が何より儲けたいのは勿論だけど、
そのためにはお客に儲けてもらう必要がある。
このことに同業のサービスだろうが
ハード作っている会社だろうが違いはない。
どんなに優れた新サービスも新製品も、
認知されない限り売れないし市場もできないのだから。
だからみんなで盛り上げよう、
みんなついて来てくれというわけだ。
「こんなにイイものできたからみんな使ってくれ」、
「きっとアナタの儲けにも一役買うし、だからウチも儲かる」、
「だからみんなで頑張ろう」というワケだ。
そういう部分にも、
こういったイベントの意義があると思う。

そんな彼等を盾にするようにして
後に続いた我々が儲けるのだ。
なんと有難いことだろうか。
その最初に頑張った彼等こそが
ウチらの何倍も儲けたって、
別にいいではないか。

新聞やテレビの内容に過敏になり
不景気の悪者探しをするようになるくらいなら、
上のような素晴らしい人達を信じて
一緒に突っ走りたいとすら思う。

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随分前だが、
「コーペティション」なる言葉を知った。
造語である。
元は多分向こう(英米?)だとおもうが、
「コーポレーション(協力)」と「コンペティション(競争)」、
この2語を足したものだ。
競合同士が皆で協力的に市場を育てながら、
そこで公正に競争しましょう、
というような意味の言葉である。
もうすっかり聞かなくなったけどね。

でもそんなこと、
昔から皆やってたような気がするけどな。

次号に続く
(ちょいと遅くなりましたが今年も宜しくお願いします)。

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この記事へのコメント
い〜ね〜、なんだか商売に目覚めちゃったのか?それでもって、なにか今度君が新しい商売考えて1番最初にやって大儲けしちゃいなよ。それで俺にやり方教えてくれ(笑)
Posted by KSG at 2009年01月31日 09:26
毎度どうも。

私が今後何をやるかどうかはさておいて、
所詮私は商売人の人たちを「外」から見ているワケで、
当事者でないがゆえ良く言えば客観的に、
悪く言えば無責任好き勝手に
観察できるのだと思います。

ですが、
ただの「批判屋」にはならないように
気をつけたいです。
Posted by 東京下町バカ写真屋 at 2009年02月01日 21:38
さあ、はじまりましたね♪

じっくり、楽しみに、
読ませていただきますよ。

今年も、よろしく お願いします。

( ところで、私は、なんで、
 記事の更新に、気付かなかったのかな? )
Posted by フラフラです。 at 2009年02月08日 23:30
いつもありがとうございます。

忙しいと言えば言い訳にしかなりませんが、
このところ、かなり投稿ペースが遅くなっており、
ヤバいなとは思っております。
本当は軽めの分量で毎週、というのが理想ですが。
フラフラさんもあれだけの質と量お書きになるのは、
かなりの重労働ではと察します。スゴいです。

今年も宜しくお願いします。
Posted by 東京下町バカ写真屋 at 2009年02月10日 08:13