2010年05月14日

『東京下町バカ写真屋』も5周年ということで(第12回)

靖国神社にて・その2
(写真展の詳しいご案内は、一つ前の投稿をご覧ください)

前回の続き。

半年ほど前、
ネットのニュースで少々気になる記事があった。

『近年流行りのホテルのランチビュッフェ
 (正式になんと↑呼んでいいのか分らないが、喰い放題のこと)は、
 どうやって利益をあげているのか』

という内容の記事だった。
といってもハッキリとは覚えていないが、
概ね次のような内容である。

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ホテルといえばレストランに限らず
何から何まで高級である。
となると必然的に高コストのオペレーションとなる。
高価格なのだからそれでいいとも言えるが、
スーパーのようにじゃんじゃか人が来るような商売ではないし、
こんなご時世に値段を高く設定するにも限度がある。
でも売上も上げたいし利益は捻出しなければならない。
そこで考えたのが食べ放題である。

「さすが高級ホテルは違うな」と言いたくなるほど、
ホテルの食べ放題(食材・料理)の質は高いが、
これは食べ放題メニューがスゴいというより、
夜のレストランの方の食材を安く上げたいがため、
食べ放題用の大量の食材と一緒に仕入れるためだとか。
つまり昼(安い)と夜(高い)では同じ食材だそうな。
これにより食べ放題のクオリティは高く維持し、
夜の高級な方は原価率を下げることになる。

「高コストオペレーション」と書いたが、
これが食べ放題だとウエイター・ウエイトレスも
必ずしも熟練でなくとも勤まるかもしれない。
広いスペースを使う割にはさほど多くの人員を必要ともしないだろう。
ほとんどセルフサービスなのだから。
作るメニューも夜のものほど複雑でもないし、
同じモノを大量に作るから効率がいいだろう。
そしてなによりも高級レストランとは
比べ物にならないほどの客で賑わうだろうから、
(比較的)低単価でもそれなりにいいんじゃないか。

そういえば確か、
食材の廃棄率も食べ放題を始めたことで
かえって減ったとも書いてあった。

大雑把な記憶で申し訳ないけど、
ようするにこの記事は
『ホテルの食べ放題はどうやって儲けているのか』
という話のようでいて実は、
『どうやったらホテル(のレストラン)が儲かるのかを
必死に考えた結果が「食べ放題」というもう一つの業態である』、
という話だったのだ。

そういえば何年か前に、
JRの御徒町と秋葉原の間に焼肉食べ放題の店があった。
たまたまBSE問題の最中で牛肉が皆無でメインは羊肉だったな。
その店はもうなくなってしまったが、
たまたまその店のまん前に某食肉卸小売チェーン店があったため、
「あ、ここが自社資源を活用して店もやってんのかな」
とか想像していた。

それを思い出して、
その記事を発見した時も
全部読まずに中身を想像してみようとしたが、
分からなかった。
当ブログでエラそうなこと言う私の妄想力もたいしたことない。

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ところで、
私が強く興味を持ったのは記事そのものではない。

そのネットのニュースでは、
記事に読者が短いコメントを投稿できる仕組みになっているが、
内容に対するコメントというよりは、
「常識レベルの話だな」
「そんなことみんな知ってる」
「(だから)記事にする程度の話ではない」という、
記事の投稿自体に対する批判が数件あったことである。

この投稿の主達はきっと私と違い、
業界人(当事者)か、かなり優秀な人達なんだとは思う。
喰い放題がどんな性質のビジネスであるかを、
彼らは詳細に想像できるからそう言うのだろうけど、
それについては信じるとしよう。

でも、
私自身が想像できなかったから言うのではないけど、
なんで「そんなの常識」とか「みんな知ってる」とか
言い切れるのかなと大変不思議に思った。

これまで書いてきたように、
我々の想像する「他人のビジネス像」の多くは相当いい加減である。


補遺:

本日、写真展初日です。
多くの方のご協力もあって無事スタートすることができました。
また、平日であるにもかかわらず、
予想以上の多くの方にお越しいただきました。
この場を借りて厚く御礼申し上げます。
あと2日間ありますので、
お近くにお越しの際は
気軽にお立ちよりくださいませ。

東京下町バカ写真屋より。

次号に続く。



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この記事へのコメント
原価率を下げるとか、
新しいアイデアを売りにするとか。
大衆は、そういう事に興味を持ちがちです。
いわゆるテレビの必殺仕事人の必殺技が、
オモシロイと思うように。

ただ、ビジネスの現場で動く方々にとって、
あふれる情報の中のアイデアは、うんざりするほど多く、
商売のプロさんたちにとって、
断片的なアイデア情報は必要ではなく、
もっと根本的な儲けの仕組みが知りたくて、
『 そんなの誰でも・・・ 』 といったコメントになった

。。そんな妄想を、私も してみました^^

写真展の初日。
無事のスタート、おめでとうございます。

あと2日、精一杯、
楽しんでくださいね。
Posted by フラフラです。 at 2010年05月14日 23:23
フラフラさんありがとうございます。

その妄想、たぶん当たっているのではないでしょうか。
本文でも書きましたが、
そういう人たちはやはり優秀な人なのだと思います。
レベルが高いから、易しい解説が疎ましく感じられたのかもしれませんね。

でも私が気になるのは(次号に書きますが)、
そういう「プロな人」が「そうでない人」とどう付き合うのか、
という点なんです。
レベルが高くなればなるほど、そうでない一般人との
感覚のズレもおおきくなるでしょう。
で、そういう異レベルの人達と付き合うことは
ビジネスでも避けられないですよね。

『広告(文)は子供にも伝わるようにカンタンにせよ』
というのは、そのズレを自覚した上で、
そのズレた先にまで伝わるようなメッセージ
(プロがイラつくくらいカンタンな)にしろ、
という事なのだと思います。

また宜しくお願いします。
Posted by 東京下町バカ写真屋 at 2010年05月16日 00:08