2011年02月23日

写真屋の差別化って何だ?(第10回)

原宿竹下通りのマックに行きました(中学以来!)
前回の続き。

どこの組合のHPなど見ても、
面白かったためしはないが・・。

私が見ているのは、
理事長の挨拶や設立経緯・組織図など、
組合概要を紹介する部分である。
その最初に、
「私達はこんな仕事をしています」的に
簡単に自分たち(写真館)を紹介するページがある。

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といっても数行の短い文章〜
「その地域において
 家族の歴史や成長を感動と共に記録する」的な、
たった4行の文章と
イラスト1点があるだけだ。

前回の終わりに書いた「興味深い発見」とは、
そのイラストのことである。
本当はそいつをコピーして持ってくればラクだが
それはさすがにマズいので文章で説明するしかない。

よくあるイメージ図、
「私たちはこんなことを目指しています」的で、
その4行の文章とリンクしているようなイラストだ。
一つのイメージを中心として、
それをぐるりと取り囲むように複数のイメージが配置されている。
中心に一番大きく描かれているのは家族写真のイラストである。
その周囲に成人式や七五三、証明写真やお宮参り、
結婚、卒業、還暦といったイラストが散りばめられており、
それらが一筋の渦巻状のラインで繋がっている

人が出合い結ばれて子供が誕生し、
成長し数々のイベントを経て新たな家族を持ち、
さらに幾つかのイベントを経てやがて死んでいくという、
その過程や感動の記録を
あなたの街の最寄の写真屋である我々が、
家族写真を軸としながら
最初から最後までお世話いたしますというそんな意図が、
その短い挨拶文とイラストから
ハッキリと汲み取ることができる。

繰り返すが、
中央に位置されている一番大きい図柄は、
「家族写真」である。

「家族の歴史や成長を感動と共に記録する」
という挨拶文に、
そのイラスト。

まるで、
かの写真屋見本市において
あの方が力強く主張された(と思われる)話を、
そのまま図示化したとさえ思える
この回参照)。

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なわけで、
『家族写真』を写真館の仕事の主軸に据えるというのは、
営業写真館全体のとは言えるかどうか分からないが
少なくとも組合の総意であることは分かった(気がする)。
ということは、
そういった方向性を全国組合員へ布教し共有していく、
もしくはその最中ということであろう。
ただこういうのは効果計測しにくいものである。
現時点でそういう店もそうでない店もあるだろう。
で話を遡ってみるが、
当シリーズで度々書いている写真屋見本市の、
今からたった1年半前の2009年度開催においても
「家族写真をスタジオの柱に」という話がされていたのは
どういうことか。
そもそもこの話を、
いったい何人の同業者が知覚していたであろうか。
この回で、
ウチにも家族写真を撮りに来る客が
ちらほら増えているという話を書いたが、
ウチのケースたった一軒だけを持ち出して
組合の趣意表明とを関連付けるのは
あまりにも強引だろう。

さしあたり、
「家族写真をスタジオの柱に」はまだ道半ば、
と勝手に結論付けておこう。

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前回、フォトブックの件と同様に、
「家族写真を写真館で撮る」を広め定着させたいのなら、
組合中枢や一部の敏感な人たちだけでなく、
一軒でも多くの写真館がそれに賛同し、
各々の地域でそれらを訴え続けることが大事だと書いた。
しかし、
どこの業界でもそうだろうが、
諸活動に積極的でないだけでなく、
組合報にすら目を通さない組合員もいる。
「小難しい話は止めてくれよ、
 こっちはてめーの商売で精一杯なんだからよ」
というタイプの人でも(そんな人だからこそ)、
見本市には来るかもしれない。
だから以前書いたように、
多くの写真屋(組合員)が一同に会する
数少ない機会の一つである見本市が重要なのだ。
なぜならプロパガンダ活動の機会でもあるからである。

そりゃ皆さんご自分のことで精一杯かもしれないが、
「家族写真をスタジオの柱に」
「地域社会に貢献する写真屋」といった、
あの写真館の方が発した決意表明みたいなヤツを、
来場した中の10分の1、
いや100分の1でもいいから話を聞いてくれたなら。
さらにその10分の1の人でもいいからその話に賛同して
小さいながらも何らかのアクションを起こしてくれたなら。
その店の売上アップ以上の何かが、
いずれ業界全体にももたらされると考えられないだろうか。
一人の人間が影響を与えられるのは数人程度かもしれないが、
その被影響者にも影響を与えられる人がいるわけだから。
自分が面白かったり感動したりしたら、
身近な人に伝えたくならないか?。
自分にとっての大切なお気に入りの一枚を、
誰かに見て欲しいと思うことはないだろうか。

マスコミ各社へのパブリシティ策を講じて
速攻でブームを引き起こすのもいいが、
我々写真屋が望むのははたして短期的なブームだろうか。
いや違う。
「家族写真を写真館で撮る」という慣習そして、
それら貢献を通じて地域社会から必要とされる写真屋たること、
である。

身近な人からもたらされる
さりげないながらも弛まぬ働きかけは即効性は低いが、
身近な人物であるがゆえ心理的反発も起こさず、
東洋医学による体質改善のようで
かえって好都合なのではないか。

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・・とかなんとか今回もエラそうに述べてしまった。
業界中枢の方々なら身に染みてお感じかもしれないが、
業界内に新しい何かを周知徹底させることは、
消費者に同様の何かを広く知らしめるのと同じくらい
骨の折れることなのだろう。

そういった業界中枢の方々が先生とするならば、
聞き分けの無いクソガキが我々末端写真屋である。
「ホントこいつらバカばっかしでよーしょがねーよなー
  儲ける気あんのかよー」
「折角あいつらのために苦労して考えてんのによー、
  バカだからコイツの価値が分かんねーんだよ」
確かにウチのような店は本当にバカかもしれないし、
そんなバカにバカと言いたい気持ちは分かる。
がそうやってバカを無視して切り離すよりも
ウマく焚き付けて取り込んだ方が
ご自分もより儲かると思うのだが。
そうすれば単純に市場がデカくなることが期待できるのだから。
でもやはり、
多くの人を巻き込んで何かを起こすなんて芸当は、
単独バカにはできないのであるからして、
大変申し訳無いがさしあたり、
優秀な方が我々下々まで降りてきていただくしかない。
ただこれまで何度も書いているように、
やり方そのものは実に単純明快であるし、
なにも一発で結果を出す必要もないのだ。

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で実は、
同HPにてまた面白い発見をしてしまった。

その話は次回にということで。


次号に続く。



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