2013年03月28日

ブログ7周年記念〜戦略的写真屋とは何か(第2回)

ライトアップは22時までですよ;北の丸公園千鳥ケ淵にて


前回の続き。

かつて、
ちょっとしたことから
あるプロダクトデザインをやっている方と
知り合う機会があった。
短い付き合いではあったが。

女性である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

残念ながら詳しくは書けないが、
すごくおしゃれなものを扱っていて、
渋谷に本店のある某大型有名雑貨店にも納めている。

そんな方だが実務では
Illustratorのかなり古いバージョンを
しつこく使っていることを知った。

やっている仕事っぷりとのギャップが面白くて
そのことはよく覚えていた。

この方の場合は
恐らく取引先に絵面を見せるだけだと思うので、
バージョンがどうのこうのは
関係ないもしれない。
文字組みのあるもので出力センターの世話になる時などに
ちょっと厄介かと思うが。


前回、
キャノンの50Dという、
アマチュア級ちょい型落ち機を
しつこく?使い続けている人について書いたが、
こういう人、
周囲を見渡せば結構いるのではないか。
その人なりに理由があるだろうが、
それで問題ないからそうしているのだろう。
そもそも
求められる仕事の質には違いがあるのだから、
使う道具に違いがあって当然だし、
何を使おうがその人の自由だ。

ただ、
こういった機材の選択ってのは、
どんな仕事でどんな客を相手にするかといったような
職業の選択でもあり、
生き方の選択と近いなとも思う。
それぞれに地域範囲や
市場規模とか個人の能力とか人間性とか、
色々違いがでてくる。
すると人付き合いや生活習慣にも当然差が出るだろう。
そして皆が皆、
同じような進化を遂げることはない。
一軒の小さな店から始まったヤオハンやイトーなんとか堂みたいに、
街の写真屋が街の写真屋らしい?努力の末、
大写真家事務所とか大型量販店になったりはしない。
器の大きい人物ならど何を使ってもいずれ大物になるだろうが、
街の写真屋が最上級機種を使ったところで
数千万の案件を扱うことは稀であろう。

私たちは、
そういう商売(生き方)を選んだのだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

道具について考える時、
つい思い出すことがある。

何度か取り上げたが、
私はこのブログで3年ほど前に、
写真業者向け見本市の話をして、
読者の方からコメントというかお叱りを頂いたことがある。

端的に言えば
「写真屋は技術(商品)を評価する能力を欠いている」
というものだった。

さらに、
私がその見本市に冷やかし半分で来ていたことが
(決してそんなつもりではなかったのだが)
その方の心情を害してしまったようで
(あくまでも私の勝手な見解)、
「写真業界は結局技術、つまり「ブツ」ありきなのであって、
 写真屋が見本市でブツを見ないとは如何なものか」
というお叱りを頂戴したわけである。

ちなみに
今さらなんだが
私は写真屋ではない。
ウチの親が写真屋を営んでいるというだけである。

詳しくは書かないが、
この方の仰っているのは至極正論であり、
あの時も今現在も反論する気などない。

失礼な言い方かもしれないが、
技術屋さんの多くは恐らく、
「写真屋の仕事(サービス)は技術(商品)がつくっている」
という自負があるだろう。
ていうかそもそも
何のために研究し開発するのかを考えれば当然なのだろうが、
結果的にそうなっていると言うべきだろう。
だって多くの写真屋は声を上げることはないから。
本当はユーザの声をより深く吸い上げながら
研究開発なりをしたいのかもしれないが、
この方の仰るとおり、
私たちの多くはおバカで見る目がない。

それなのに、
「(例:デジカメ)こんなのウチにゃ必要ねえよなー」
とか言っていたくせに、
いざ新製品なり新技術なりを試してみると
すっかりハマり、
それまでの仕事っぷりが一変してしまったりする。

ウチのようなおバカは、
何かを発することはなく進化することもなく、
追随するだけである。
でもっておいしい部分は安価でいただく。

だが、
自らが弱者であることを理解する者にとっては、
それが妥当な選択なのだ。
食うためなら、
どんな風に罵られようが
後だしジャンケン上等である。


多くの資金を必要とし、
それらは設備へ姿を変え固定化し
支払いは毎月でも回収はずっと先という、
すでに多くのリスクを背負っている状態、
その中で
脳みそに汗かきながら
時には脳みそから血を流しながら
必死に考えモノ作っている人からしたら、
これほど嫌な客はいないだろう。

音楽好きにもかかわらず
好きなアーティストのCDを買わないやつと、
どっちがむかつくかな。


ちなみに私の勤め先は
製造業である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

高感度での撮影機能がアップすれば
光量の足りない脆弱な環境(貧乏な店)でも
撮影が可能になり、
以前なら諦めていたような案件も
「よしやってみるか」という気になるかもしれない。

パソコンやインターネット周りの技術が簡素化し安価になるから、
貧乏店でもそれなりにプロモーションができる。
チラシもPOPも自作したりして、
口下手主人も安心して
値段や商品説明ができたりする。

要求される仕事の質以上に
技術の進歩が進むことで、
それら技術に支払われるべき対価が
相対的に少なく済んでいる。


技術の進化高度化というのは、
送り手受けて共にビジネスマインドや技術レベルの高い人々へ
便益をもたらしてくれるだけでなく・・・、

・・・・

その優れた技術(商品)が
その優秀さゆえ、
ウチのような零細死にかけ商人の
トドメを刺すどころか、
生き長らえさせてくれちゃったのである。

合掌。



【今日のおまけのコーナー】


もうご存知なら申し訳ない。

ちょっと前の話になるが、
大変面白い事件があった。
衆院予算委員会での一コマである。

とりあえずヤフーでもグーグルでもいいから

「 2013年 3月8日 衆院予算委 」

で検索してみると一発で出てくる。
ただし動画は長いので(1時間強)、
他のサイト等で要約を見てから
動画を見るのもいい。
勿論全部視聴を強くお勧めする。


ググった結果→クリック


ヤホーの検索結果→クリック


実はコレが終わった後も
一騒動あったのだが、
詳しくはいつもの連載
「ミラーレス一眼のCMの彼女と、その周辺で」
で書くつもり。


次号に続く。

人気ブログランキングへ・クリックお願いします!



この記事へのトラックバックURL