2013年10月12日

ブログ7周年記念〜戦略的写真屋とは何か(第10回)

東京都美術館の入口付近:東京上野公園

前回の続き。


前回、
写真屋仕事は大きく2つの種類に
分けられる的なことを書いた。

「既に答えの出ているもの・問題点のはっきりしているもの」

「特定個人の未知の問題点を直接発見したり解決したりすること」

である。

そして前者は
大きな組織に奪わる(た)が、
後者にはまだ私たち小さな独立店にも
戦う余地がある、
という話であった。

でもよく考えてみりゃ、
私たち写真屋は自分たちの仕事を
全部後者だと思ってきたんじゃなかろうか。

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ちょっと話は逸れるが、
以前私は画像処理を習ったことがある。
まあPhotoshop講座と言うべきかな。
そこでの講師の方の話。


写真・カメラ好きには十分ご存知の話だが
ご存じない方のために
ちょっとお付き合いいただきたい。



超有名カメラメーカーC社(わかるよね)はかつて、
オートフォーカスを含めた完全電子化導入のため
レンズのマウントを完全に一新した
(マウント径が大きくなった)。
これは大英断である。
なぜなら、
それまでのマウントとの互換性が無くなる、
つまり旧製品を見切り
全く新しいラインナップに移行することになるからだ。
それまでのユーザには辛いことであったろうが、
新設計により性能がアップした
時代に即したカメラとレンズが手に入ったわけである。


一方、
同じく超有名カメラメーカーであるN社(わかるよね)は、
C社同様レンズを完全電子化するが
マウント変更はしていない。
これはこれでスゴいと思う。
どんな最新カメラでも大昔の旧レンズが
引き続き使えるからである。
それまで買いためたレンズを無駄にせずに済むという、
ユーザー想いの決断ともいえる。


このことは約15年後
あるカタチで有利不利を生み出した。


C社はデジタル一眼レフ登場後早い時期から
フルサイズセンサー機を扱っていた。
確か当時100万くらいだったかな。
しかしN社はそうしなかった。
というかできなかった。
こういうと技術的な解説が必要になるのが、
別の場所でご参照いただきたい。
コスト面の問題とも言われているが
早い話がマウントが小さいままだったから、
というのが当時の専らの見方である。
反対にC社はマウントが大きかったため
それが可能だったということだ。


それを根拠に
当時のこの講師の方は

「N社は『フルサイズ』を断念した」

とハッキリ言い切っていた。

そして私を含め
恐らく多くの者がそう思っていたと思う。
N社やっぱフルサイズやらないのかな、と。


で結果は皆さんご存知の通りである。


私はなにも
この方を責めるつもりなど毛頭ない。

ここで私が言いたいのは、

「今現在常識のように思われていることでも、
 いつかそうでなくなるかもしれない」

ということである。

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前回そして今回の冒頭でも
「未知の問題発見や解決には
 直接対個人で行う小商店にも勝機がある」
みたいな事を書いたし、
今でもそう思っている。
しかしながら今回書いたとおり、
「ベテラン写真屋じゃないとできない」
と思われていたことが、
すこしずつチェーン組織や
新参者に奪われていった。
今扱っている仕事も
いずれそうなるかもしれないわけだ。

これが矛盾するとは全く思わない。
まあ確かに、
黙っていてもいずれ新しい技術は登場する。
なぜなら、
新技術の登場によって
革新的問題解決と弱小商店からの仕事(顧客)収奪が
同時に起こるわけで、
それこそがまさに
技術を生み出し動かす側(あるいは強者)にとっての
利益そのものだからである。
ただでさえ非力な我々に競争相手を選ぶチカラもない。
巷で言う「(新たな)価値創造」とは
まさに「市場創造」なのであり、
旧市場の破壊でもあるのだ。
大企業も私たち零細商人も関係ない、
私たちの現実である。


しかし、
事柄の全てが大組織や精密機械に
奪われてしまうわけでもないことを、
私たちは経験則として知っている。
完全に計算され解明された人間の欲求もなければ、
それを解決する完璧な道具もないのだ。
どんなに強い者に追いやられようとも、
目の前のたった一人を喜ばせてあげれば、
なんとか食い繋いでいけるわけである。


だからである。
だから私たちはそのためにこそ、
腕とセンスを磨き続けなければならないし、
情報も常にアップデートし続けなければならない。
決して
「そうすれば大丈夫」とか
「コレさえあれば」とか
そういう理由で技術や情報を得るのではない。
それは「必ず当たる宝くじの買い方教えてくれ」
と単に乞うているに等しいのだ。
一つの物事にすがったところでいずれ、
そいつに足引っ張られるだけだから。
目の前の問題解決や、
いずれやってくる未知の問題の解決にこそ、
技術や情報が必要だ。
振り回されるのではなく、
武器として活用する気で学ぶのだ。

そして、
たった一人の人間と向き合ったり、
友人たちどこかに遊びに行ったり
近所をぶらぶら見回したりすることも、
情報収集の大事な手段であるに違いない。
機械にできない我々の数少ない強みでもある。


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内外の偉い人が言うように、

「誰にでも一度は重大な決断をさまられる時が来る」し、

「変われない者は淘汰される」というのも

事実だろう。

しかしそこまで言われても
なかなか変われないのが
我々年老いた零細商人である。
というか
変わることなど考えていない(諦めた?)輩も多い。
だが、
変われなくたって生き残っている店は山ほどある。
なかなか興味深い存在であるが、
そこから学びたいと思えばこそ、
何かしら面白いことが見つかるのだ。


次号に続く。


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